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- 絵を描くとき色々な画材を使うが、私の場合は主に油絵の具である。
- その他にも下地にはアクリルや、テクスチャー作りのために砂などを用いるが、最終的には油絵の具が必要なのである。何よりも絵の具の伸びが良く乾燥が遅いため、じっくりと考えながら世界を作りだせるからだ。
- 時には一つの作品が完成するまでに1年以上もかかることがある。
- その間、その作品は常に視界に入る所に置いてあり、自分の中でその世界が動き出すのを待っている状態なのだ。
- 当初に描こうと思っていた色や世界から変わることもあるが、それはその作品の本質が変わるのではなく、どちらかというと自分の中で浄化され、より描きたいものの本質に近づくための過程といった感じだ。
- もちろん、時には強いインスピレーションに導かれ、とても短い期間で仕上がる作品もある。
作品のサイズに関わらず、最初に「言葉」や「音」が頭の中に浮かんでくる。
- それは、もしかしたらどこかで聞いたことのある音楽や地名だったり、時には何語かわからない不思議な言葉だったりする。
- ある音楽の一小節がぐるぐると頭の中で廻ったり、行ったことのない土地の名前や、その地域の気候などがいきなりやけにリアルに感じたりするのだ。
- もちろんそれは想像で本当はそんな場所や音楽はないかもしれないが、私の中でその世界は存在し、その目に見えない景色を私は絵として描き起こす作業をしている。
思いついた題材が抽象的だった場合、まずそれを煮詰めるのにかなり時間がかかることもある。
- ノートに、その時頭の中にある世界の色やイメージに近い言葉をメモし、出来るだけその景色が色あせないように覚えておく。その過程の中で作品の方向性やキャンバスのサイズを考え、時には先にタイトルが決まることもある。
- ここまで出来て、初めてキャンバスに下地を作っていく。
- 絵の具で画面を一色に染めてみたり、イメージに近い音楽を聴いてみたり、何時間もキャンバスの前に座って眺めていたりもする。
色を作ることも重要な作業の一つだ。
- もしかしたら一番こだわっている部分かもしれない。
- 自分の思っている色がなかなか作れないときは、かなり苛立ってその日はもうその絵を描かないこともある。
- ただし、そうやって色を作っている時に、たまに自分でも気付かなかったようなとてもいい色が出来ることがあり、そんな時はその色をまだ何も描いていないキャンバスに塗っておく。
- そうすると後日になってそのキャンバスから新しい世界が見えることがあるのだ。
- なんだか知らない街に旅行をしたような、誰か知らない人に道を聞いたような、とても不思議な、わくわくするような瞬間だ。
私にとって作品を作るということは、自分と向き合って素直に自分を表現するということ。
- 昔は誰かに解ってもらいたくて絵を描いていた気がする。
- 「何かを伝えなくてはいけない」と勝手に思い込み、その誰かの気に入るような絵を描いていた。
- ただ、それは私の、私自身の世界の作品ではない。
逆に、自分と向き合うということは、心の底にあるつらいことや悲しい思い出すらも見つめなくてはいけないということだ。
- でもいつの日かそれすらも笑い飛ばして、自分の作品を懐かしむような、そんな気持ちで眺めてみたい。
- 今はただ、私の作る作品を通して知らない感覚を見るように、気付かなかった音を聴くようにように、お互いに伝え合い共有できる世界を表現していきたい。
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